Pin Ups/ピンナップス(1973.10.19発表)

pinups

「ピンナップス」はデヴィッド・ボウイのキャリアの中では特殊なアルバムです。

このアルバムの制作動機となっているのはRCAからのアルバム制作義務履行を強要されたことです。
そのためボウイのオリジナル曲はなく、全曲が1964年から1967年のカバーとなっています。

発表もアラジン・セインから6ヶ月、ジギーを葬ったハマースミス・オデオン公演から3ヶ月というスピードでした。

義務という意味では、デビッド・ボウイのモチベーションが那辺にあったのかが気になるとこですが、全曲のパフォーマンスは奇蹟と言っていいほど保たれています。

おそらく、ザ・フー、ザ・ヤードバーズ、ピンク・フロイド、ザ・プリティ・シングス、ザ・キンクス、ジ・イージービーツといったデヴィッド・ボウイの原点となるバンドのサウンドを実験的に再現することで、ボウイの雌伏の時代にやりたかったことを追体験したのではないでようか?

また、各曲の繋がりが流れるように一体感のある構成はアルバムとしての完成度を高めていることから、このアルバムがただ契約履行のためだけに作られたものではないことを示しています。

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収録曲とサウンド

Pin Ups

Side-A

  1. Rosalyn(プリティ・シングス:1963?)
  2. Here Comes The Night(ゼム:1965)
  3. I Wish You Would(ヤードバーズ:1964)
  4. See Emily Play(ピンク・フロイド:1967)
  5. Everything’s Alright(モージョズ:1964)
  6. I Can’t Explain(フー:1965)

Side-B

  1. Friday On My Mind(イージービーツ:1966)
  2. Sorrow(マージーズ:1966)
  3. Don’t Bring Me Down(プリティ・シングス:1964)
  4. Shapes Of Things(ヤードバーズ:1966)
  5. Anyway, Anyhow, Anywhere(フー:1965)
  6. Where Have All the Good Times Gone(キンクス:1965)

※()内は原曲アーティストと発表年。「Rosalyn」はプリティ・シングスのデビュー曲。発表年は1963年か1964年か未確認です。

このアルバムのバックはミック・ロンソン、トレヴァー・ボルダー、マイク・ガーソン、エインズレー・ダンパーが務めています。

「スパイダーズ・フロム・マース」のドラム、ミック・ウッドマンジーがエインズレー・ダンパーに変わっただけというバックバンドであることから、ジギー・スターダストのサウンドをそのまま引き継いでいることが分かります。

しかし、「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」等のサウンドとは大きくかけ離れているように聴こえます。

それは、このアルバムがオリジナルを忠実に再現しようとした試みからのものでしょう。

デヴィッド・ボウイのボーカル

前述したようにオリジナルを活かそうとしたサウンド作りは、デヴィッド・ボウイのボーカルにも表れています。

ボウイのボーカルは曲に合わせてひと味変わった歌唱法を試みているようです。

それゆえに妙に落ち着かないボーカルの曲もあるにはあるのですが、4曲目の「See Emily Play」において、ピンク・フロンドのシド・バレットのカバーを披露していることは注目に値します。

デヴィッド・ボウイの「ステイション・トゥ・ステイション」の頃のボーカルはシド・バレットが引き合いに出されることもあり、この「ピンナップス」というアルバムが、デヴィッド・ボウイのボーカルの方向性を決定づけていく上で一役買っていることは間違いありません。

さらに、このアルバムの後に続く「ダイヤモンドの犬」や「ヤング・アメリカンズ」といったどちらと言えばソウル指向のアルバムへの助走となっていることが分かります。

© backstar.blue

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