Diamond Dogs/ダイアモンドの犬(1974.4.24発表)

weimaraner

「ダイヤモンドの犬」はデヴィッド・ボウイのセルフ・プロデュースアルバムです。
「ピンナップス」まで、デヴィッド・ボウイのサウンドを支えたミック・ロンソンと決別し、トレヴァー・ボルダーもいません。

ジギーを葬り、スパイダース・フロム・マースとも袂を分かったボウイはジョージ・オーウェルの近未来小説「1984」のミュージカルに着手します。

ところが、遺族から許可が下りず、ボウイがミュージカルのために用意した楽曲は宙に浮いてしまうことになってしまいました。

そこでボウイが作り上げたのが、自らが構想した近未来のディストピアを描くアルバム「Diamond Dogs」だったのです。

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収録曲とサウンド

Diamond Dogs

Side-A

  1. Future Legend
  2. Diamond Dogs
  3. Sweet Thing
  4. Candidate
  5. Sweet Thing (Reprise)
  6. Rebel Rebel

Side-B

  1. Rock ‘n’ Roll With Me
  2. We Are The Dead
  3. 1984
  4. Big Brother
  5. Chant Of The Ever Circling Skeletal Family

デヴィッド・ボウイはこのアルバムでリード・ギター、サックス、パーカッション、シンセサイザー等を担当しています。

そのため、アラジン・セインまでのミック・ロンソンが支えた洗練されたサウンドはなく、ボウイのサックスやマイク・ガーソンのピアノの影響からかソウルサウンドへ傾きかけた印象があります。

そこには隆盛を極めたグラム・ロックの雰囲気は既になく、このアルバムで自らがリードしたグラム・ロックを終了させてしまいました。

1974年6月、モントリオールから開始された「ダイヤモンド・ドッグズ・ツアー」が9月には「フィリー・ドッグズ・ツアー」と名前を変えてしまったことは、このアルバムによって、デヴィッド・ボウイのサウンドが急速に変化をしていった事実を物語っています。

ハンガーシティ(ボウイが構築した世界)

「ダイヤモンドの犬」が、ジョージ・オーウェルの「1984」のミュージカルの企画から生まれたアルバムであることから、アルバム自体の世界観に奇妙なゆがみがあることに気づきます。

「ダイヤモンドの犬」の楽曲を見てみると、以下の3つの内容を見つけることが出来ます。

  • ミュータントが跳梁する未来世界
  • 「1984」の全体主義世界
  • 1974年当時の若者文化

デヴィッド・ボウイは「1984」ミュージカルからの方向転換に際し、フランク・エドワーズのSF小説「ストレンジ・ピープル(邦題:超能力者の世界)」に影響されたと言われています。

そのため、ミュータントの跳梁する「ハンガー・シティ」が生まれたものと見られます。

しかし、「1984」や「Big Brother」等はジョージ・オーウェルの描いた近未来の全体主義に警鐘をならす楽曲として、ミュージカル用に用意したものが、そのまま採用されています。

面白いのは「Rebel Rebel」です。
この楽曲は近未来世界を描いたアルバムの中にあって、1974年当時の若者を的確に表現しています。

詩をみれば、この楽曲が「若者のバイブル」といわれることにもうなずけます。

……

これらの3つの方向性が混ざり合っていることがアルバムの完成度を損ねる結果になっています。

しかし、ボウイのナレーション「Future Legend」で始まり、呪文のような「Chant Of The Ever Circling Skeletal Family」で締めくくることによって、ボウイの構築した近未来ディストピア世界を違和感なく受け止めることが出来るようになっています。

詩作ではウイリアム・バロウズのカット・アップ技法の影響も見られ、今後のボウイの基礎を築いた記念碑的な作品となったのでした。

© backstar.blue

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